そこかしこで事件が起きている。
爆発音を伴うものを大事件と呼び、電話口で手持ち金をちょろまかされた関係をささやかな事件の目で見る。
事件が絶え間なく発生し続けている。
いま正に目の前で起きた。
まだ何事件と呼ぶべきか、その規模を推し量りながら人々は耳を澄ませ目を凝らしている。
つい3分前、強奪事件が起きたことをなかったことにした事件に名前を付けて帰ってきた人々が我々の元にやってくる。
事件は増えていくだけで本当に解決を望んでいる人はいないと、僕だけが知っている。
本当は、僕以外も知っている。
事件が起きた。