誰かの頭の中の生活
それなりに持て余す10畳の部屋は少し気を抜いただけで床一面が物であふれてしまう。
たいていの場合膝掛けを座布団代わりにして座り、ローテーブルの上の日記や本に向き合っている。
そんな風にずっと部屋のおんなじ場所に腰を下ろしていたら己が床と一体化してしまうような気がして、それで我に帰る。
そして思う。活動をしなくてはならない。活動しないことには動物の名を剥奪されてしまうからだ。
剥奪。一体誰に?きっと頭の中でよく動く鼠みたいないきものに。
活動、つまりは動きが必要。体を動かして何かしらの変化をもたらすということ。
ということで色々試してみる。意味もなく部屋の中を行ったり来たりすると膝の関節がふわふわした。
腰を基点に上半身をひねってみると脇腹のあたりがキリキリした。
肩を回すと首の付け根が取れそうになった。
立った姿勢で片足を畳んで持ち上げて太腿を腹に密着させてみる。
これが一番しっくりきた。これが僕にとっての正しい活動らしい。