夜更ししないで、早く寝る

文を並べると文章になります。

嫌いなものについて考えてみる

自己分析シートという課題が出た。表面に好きなもの、芸術、メディアなど、裏面には嫌いな…といった塩梅のプリント一枚。当然ただ好き(嫌い)なものを並べ立てるだけではなく理由も明記する必要がある。

好きなものを書くのは楽だ。そして楽しい。『感覚的に好きだから理由なんて』と思っていたものでも、改めてよく考えてみると必ず理由は見つかる。それだけでなく他の好きとの共通項が見つかったりして面白い。

問題は嫌いなものを書くこと。「苦手だなあ」と感じた瞬間に情報を遮断する傾向にある僕にこれは難題だった。

食べ物ならすぐに思いつく。果物とトマトは食感と酸味が苦手、スムージーは飲み物なのにドロドロしていて喉に引っかかる感覚が苦手、ホルモンは飲み込めないから苦手。

メディアの場合、理由を書くためにその作品を調べたり思い出す作業が必要になる。

好きなもののことはツイッターや日常会話でも話に上がるが、逆について作品名を挙げてこういう理由で苦手と書き出すのは初めてのことだった。

世の中の大抵の人は自分の好きな作品を貶されるのが嫌いで見たくないもしくは反論したくなる。私はそこまで繊細ではないので、推し(この言葉使いたくないけど表現として適切なので使う)が苦手な人の意見も興味深く聞きたいのでそのへんの感覚は共感しがたい。もちろん理性の無い中傷や暴言はブロックするけどね。

たとえば、西尾維新作品は軒並み苦手の部類に入る。彼が得意とする言葉遊び、あれが苦手だ。中には関心するものもあるがとにかく量が多くて、だんだん駄洒落ショーを見せられている気分になる。それはそれで面白いけれどさ。

作品名だと人気漫画の文豪ストレイドッグスも苦手だ。これはさっきのものとは違って内容とは関係ないところでアンチ的感情が生じている。もともと純文学が好きで文豪について調べたり話したりすることが多かった。

この漫画が流行りだしてから検索窓では乱歩の能力がどうだとか泉鏡花のコスプレだとかがヒットするようになり、漫画好きの友人は小説の話にキャラクターの関係性をねじ込んでくるようになった。あの漫画の絵は綺麗で良いと思うからかえって苦手と好きとのジレンマに悩まされる。もう少し考察を続けてみて、台詞の漢字変換の多さに鬱陶しさを感じることに気づいてから『苦手寄り』に落ち着いた。

根本的には性格が悪いので案外苦手な理由もすらすら出てくる。ただ嫌いを知るにはたくさん調べなくてはいけないので、この課題を埋め終わるまでには嫌いなものが減って好きなものがちょっとだけ増えているかもしれない。