室内雨には風情が無い
天井から水が降ってくるので大人を呼んだ。
大人が来るまでの20分間、お茶を飲んだり降ってくる水を眺めたりしていたら外で爆発音がした。
事実は小説よりも奇なり、脈絡ないことが起こるこの塩梅は作りあげるとなると意外に難しい。
後から来た大人に聞いたところ、爆発ではなく硬いものどうしが衝突した音だった。つまり車がぶつかった。
不謹慎かつ不道徳な表現にならないよう気を遣いたいところだが大きな音を聞くと笑ってしまう。たまたま対象になったのが事故だっただけで、押し並べてデカいものは面白い。
大人が部屋に水を降らせないようにする作業を始めた。お茶を飲んだり工具を眺めたりしながら待った。
途中、大人が天井をよく見るために穴を開けた。大きなドリルだ。
めちゃくちゃ大きな音がした。
マスクをしていてよかったと思う。
見送る時にその大きな音を思い出して、「ありがとうございました」と言おうとしたら「ありぁっざいあした」になってしまった。