架空筆者 津野奏
朝起きて、冷凍してたコストコのパン温めて食べてぼーっとして気づいたら昼になっていたからまた休日を無駄に、無為に?そんなふーに過ごしてしまったみたいな気持ち。
外の空模様だってざわざわ落ち着かない午後だなら出かける気にもならないし。かといってこの無為、な、ムイミ?な時間が24時間続くのもなんかシャクだし。
たまにはいつもと違うことしたいよね。
都会の汚い空気に晒したくないからって洗濯物干すのにもまったく使ってないベランダに出てみた。家賃の十何分の一くらいはここにもかかっていると思うと、こんなむき出しの淀んだ細長く狭い空間も僅かな価値を持つからフシギ。
見上げれば天井もとい上の階のベランダの底が見える。
元はぼやけた紺色だったのがところどころ煤けているのが情報として頭に入り込む。突然、何かしらでこの目に映るものを埋め尽くしたくなって部屋に戻ってみた。
一年以上使っているのにちっとも減らない牛乳石鹸があったから、手で泡と水を混ぜて昨日コンビニで買ったプリンの残骸のプラスチック容器に注いでみる。乳白色っていうのかな。濁った白っぽいーーでも透明にちかいエキタイ。
それを手に持ってまた細長い閉鎖的で開放的なベランダに身を置く。
中指と親指で輪を作って容器に入れてみて、取り出すとゆらめく膜が煤けた天井兼上の階の底をぼんやり透過する。
ふっと息を吹きかけるとなんとも弱々しいいびつな玉が依然ゆらめきながら上昇していった。
作業的に息を吹いては創造的にさまざまな大きさのゆらめきを浮かべていく。あんまり長いことやっていたものだから夕方頃にはベランダが小さな泡だらけになっていた。
濁った空気で肺を満たしては歪なシャボンを吐き出して、変わらず明日も自分の体はまた起きるんだと思う。