※怖い話注意(なんて前書きをつけてみたかったのだ)
その日僕は自転車で夜道を走っていた。
駅からそう遠くない、町の中では比較的発展した場所ながら牧歌的な風景にも囲まれた都会と田舎の間のような道だ。
月と星がよく見える晴れた夜で空気も澄んでいる。ペダルを踏むたびに体を通り抜ける冷たい風も心地よい。
傍にゴルフパークだの歯科だのの看板がそびえ立つあたりを過ぎ去るその時、聞こえてきた声に全身がこわばった。
種類で言えば叫び声に分類される短い音。異質なのはその声はヒトのもののようであり獣のもののようでもあったところだ。
跳ねる心臓を落ち着かせようとお気に入りの音楽を反芻していたら再度同じ声が響く。
ビデオテープで再生しているかのように、さっきのものと全く同じ音だった。
なんとかうやむやに出来るオチを考えようとしたが何も思いつかなかった。
つまりこれはただの不思議な話です。