夜更ししないで、早く寝る

文を並べると文章になります。

それは厳しい戦いを乗り越えた戦士の面持ち

今日は光回線の工事の人が家に来た。

軽装の業者一人だけだったので、案外すぐ終わるものなのだろうとタカを括ってクッションに腰を下ろして待つ。

数分後。

端的に言って業者の人はものすごく苦戦していた。すでに何回も「何だこれ」って言っている。

3回くらい「ちょっと待っててくださいね」と言って部屋の外に出て何かを確認しているようだった。

しかも戻ってくるたびになかなか深めのため息を吐いている。とんでもなく大変そうだけど、私には業者の人を上回る知識も技術も無いので黙ってたまにお茶を飲みながら座っていることしかできない。無力だ。

更に数分後。相変わらず作業は難航しているようだ。

誰も悪くないのに恐ろしく気まずい空気が充満している。何だこの部屋。

再び部屋の外に出て何かを確認したのちに戻ってきた業者の人は床に座り、しばらく作業をせずに宙を見つめていた。何だこの時間。

助けにはなれないので、宙を見つめる業者の人の方をあまり見ないようにしてお茶を啜った。

まもなく作業は再開されたが依然苦戦しており、「ああ」とか「こっちじゃないのか」とか最早心の声がだだ漏れ状態。時間が経つにつれて工具を広げるスペースも拡大されていく。それについては何とも思わないけれど、下の階にも人が住んでいるから工具を床にカランカランって音を立てて落とすのは正直やめてほしいと思った。

無力な学生とぱったり独り言が途絶えた業者との不思議な時間は突然終わりを迎えた。無事に工事が終了したらしい。その後軽い説明を受けて、お互い過剰なまでにお礼を言い合ってお別れをした。

今後あの業者の人と会うことはきっと無いけれど、彼の「作業終わりました」と言った時の晴れ晴れとした表情はしばらく忘れないだろう。