宇宙ごみソースも絡まって
クロッキー帳を買った。大きさはタテがティッシュ箱くらいでヨコがiPadくらい。
重い腰ならぬ重い指を上げてようやく絵の練習をする人間になろうとしている兆候だ。
ここに至るまでものすごく指が重かった。
どのくらいの重さかというと米俵くらい重い。指一本につき米俵一俵くらい。こんなに重くていったいどうするというんだろうか。
これは地球に重力があるからこんなに重いんだ。遅ればせながら自己紹介を。こんにちは、地球人です。
地球にいては10俵の重量に耐えなくてはならないので月に行くことにした。
月の重力は地球の六分の一らしい。昔ドラえもんにそんな記述があった記憶が微かに残っている。
そんなわけで月に到着した。てこの原理だとか活写の法則だとか遺伝の法則だとかを上手いこと使ったら行けた。案外やってみれば行けるものだ。
しかし困ったことに米俵10俵を持ってくるのを失念してしまった。代わりのつもりか鞄の中にパスタが7本入っている。
パスタが7本あったって仕方がない。とりあえず1本は地面に刺しておいた。
残りの6本は太陽に向かって投げた。
フォークボールの要領で投げたらうまいこと絡み合って太陽の熱でカリカリの美味しいおつまみが完成した。旨い。
特にやることもなくなったので月の裏側にも行ってみる。ボウリング場の看板があって心躍りかけたがまだ建設中だった。
落胆して歩いていたらいつの間にか大手町に到着した。まるで家とは方角が違っている。
月から地球に帰るよりも、大手町から自宅に帰る方が人も乗り換えも多くて大変だなあと思いながら電車に揺られて帰宅した。
すっかり疲れてしまったので適当にスーパーで惣菜を買って食べる。味が濃いめで疲労にガツンと効く肉料理がいい。
米なら投げるほどあるから。