シャワーも苦手
入浴を済ませると、いつも風呂場の壁についた水滴を拭こうか拭くまいか思案する。
カビとか霊障を住み着かせないためには無論拭くべきに違いないが、毎日洗濯をするわけにもいかないから毎度同じ雑巾に水滴を委ねるのもなんだか気が引ける。
そんなわけで1週間に一度くらいのペースで拭くことにしている。
嘘だった。体感ではおそらく一か月くらい拭くのを怠っている。つまり僕は話を盛った。盛り盛りオクトパスと呼んでもらって構わないくらいだ。
風呂で入浴以外の作業をするのは苦手だ。垢落としだの洗濯機不可衣類の手洗いだの、こっちはお湯に浸かる以外でビシャビシャになりたくないのだから。
今日だって菌の侵入を防ぐために貼り付けた絆創膏がペロリと剥がれて親指の先がお出迎えしてしまうくらいビシャビシャになった。
まったく私というものは血が出ないタイプの傷が多すぎる。
部屋の床に寝そべった時に気づいた。1週間おきにかけるはずの掃除機もしばらくかけていない。
盛り盛りペンタゴンと呼んでもらうことにする。