きっと大阪出身だから
たこ焼き屋で狐色の球体がくるくると回る様をぼんやり眺めていた。
受取り口兼勘定場には今流行りのアルコール消毒液。プッシュして手のひらに擦り込む動きは刷り込み済み…上手いことを言うのはなかなか難しいなあと思いながら空気の波に触れてひんやりする手をやり場もなく膝の上で組む。
それにしても質素で良い店構え。
完成を待つベンチの傍には本棚やわたあめを作る機械があって、どことなく昭和の香りがした。
もしタイムスリップして商店街を巡ったら、どこもかしこもわたあめ機だらけに違いない。
数分待ったのちたこ焼きを受け取り、店を出る前にわたあめ機をまじまじと見つめた。
漫画の重みで重力に従って湾曲した本棚に思いを馳せながら。そう、『ナニワ金融道』全巻が並んでいた本棚だ。