でも僕は優しいし私は真面目なんかじゃなくて自分はいたって平然とイカれている普通の人間なのだ
ヒトは名前をつけたり定義づけることで安心を得る。
ミュージシャンや芸人のファンに呼称をつけるあのちょっと気持ち悪い風習も、『○○のファン』という文言では繋がりみたいなモノが弱く感じられる傲慢気味な不安から生まれたんだろう。
セクシャリティの認識は難しい。なにが難しいってタイミングだ。
未成年で思春期みたいな空想ばかりに耽っているこわっぱが『私、恋愛とかわからないのヨ』など宣ったところで、ただの経験不足と一蹴されるかマイノリティへの痛々しい憧れと罵られて終わりかの二択だろう。
自分は特別(性に関しては何を『普通』とするかがまた面倒な問題なんだけど)だと思いたいのは
誰しもが通る道、すなわち厨ニ病の典型的な症状なんだと自分に言い聞かせるときもあった。
そして活字に親しみがあるから知っている。物語には成人してなお色恋に縁遠かったOLが突然の恋に目覚めるパターンがあるってことも、堅物で肝が座り込んだ男性が天真爛漫な女性に徐々に絆されていくストーリーの進行が許されているってことも。
でもどうやら本当にヘテロでもビアンでもゲイでもトランスでもないらしい。
そんなわけで今のところはアロマンティックという名前で納得しておこうと思う。