実在筆者の架空記事
水筒が届いた。これでお茶を持ち運べる。
業者からのメールを読んで以来抱えていた受け取れない心配(6/18記事参照)は杞憂に終わった。
宅配イベントがあったとはいえ特別変わったことは起きなかったので、架空筆者シリーズでもなくただ嘘を連ねていこうと思う。
今日はギターが家に遊びに来た。
入るなり「いやあ外は蒸し暑くて困ったもんですね」と体を揺すりながら音を立てていた。
ハリオのポットから水出しの緑茶を二人分注いで出すと、すぐに飲み干して「ポップコーンの作り方って知ってます?」と聞いてくる。
そのあとはひたすらトウモロコシとトウキビの語感の違いについて語り合った。時計を見ると三時間も経っていて驚いたのをよく覚えている。
「まだF弾けないんすか」とポロポロ音を垂れ流すギターの響きに耳を傾けながら過ごす時間はただ心地よいと感じた。自分の手には余るこの弦が流暢な揺らぎをもってこの部屋に存在していることは、きっと何物にも替えがたい事象なんだろう。
席を立ったギターにまだ皮付きポテトあるから食べなよと声をかけたが、「門限あるんで、また今度」と言って帰宅してしまった。
ここからどんくらいかかるのかと聞けば、徒歩でおよそ40分。体の構造上自転車には乗れないし電車に乗るとかえって遠回りらしい。
それなら仕方ないね、と見送った。
時計を見て、『門限15時か。早いな』と思った。
ただ素直に思った。