悲しい性
所謂サブカル趣味のある人間は特にそうだが、ベタなものを避ける傾向にあると思う。例に漏れず僕もその気質は内包している。
誤解されたくないのはベタなものが嫌いではないということ。ただあまりにどこかで見たような例文をなぞった調子のコンテンツを見たり、自分の発信で使い古された語彙や構文を使うのにはどうも気恥ずかしさを感じるというだけだ。
そしてそんな厄介な繊細さを持った多くの人は、往々にして本当に恥ずかしいのはベタではなく『ベタを避けた結果、邪道の中でベタになっているもの』に手を出すことだというのにも気づいている。
もううんざりしているのだ。プロフィールの記入欄に『無記入』と記入したり、カップルにおすすめのアニメでSchool Daysを推したり、タイトルに無題とつけたり(これは効果的にはたらくケースもある)するのは。
それならいっそベタに振り切ればいいのにそれすらできないところがダサい。ベタをやっている人の方がよほど潔くて芯がある。
少し耳が寂しくなって、昔登録した誰でも手軽に配信ができるアプリを久しぶりに開いた。
自分のユーザー名を『名前』に設定してあるのを見て、こいつ貧血とかで倒れればいいのにって思った。