結局なんで渡されたのかわからない
靴を買いに行った。
前に履いていたのと同じ型の靴なので試着もそこそこに購入を決めた。「これにします」と店員さんに言うと、「ではこれを」とプラスチックの番号札を渡された。
アミューズメントパークのコインロッカーに付いているような丸くて薄い番号札だ。レジ前に人が並んでいるわけでもないので数字は“1”。
人がいないのになぜ番号札を渡されたのかよくわからない。まあ包装とか他の客への対応とか、店員さんも色々準備があるんだろうなと思ってレジの近くで革靴を眺めることにする。
何分か経った。相変わらずレジの近くに客はおらず、別の店員さんが新商品か何かの話をしていた。僕は革靴を見ていた。
それから店内を一周して再び革靴のところに戻る。レジに客はいない。しかし番号札をもった人間が呼ばれる様子もない。
しばらくして革靴のブランドをいくつか覚えられるようになったが、依然呼ばれることはない。
そして、ついにレジに客がやってきた。
しかし見てみるとその客は番号札を持っていない。というか番号札を持っていたとしても“1”の僕が先に呼ばれるはずだ。つまり番号札に意味はないということだった。
前の客がお会計を済ませたのを見計らって革靴コーナーからレジに移動して番号札を店員さんに渡す。番号札をくれた店員さんとは別の人だ。
すぐにお会計は終わった。良い買い物ではあったので嫌な気はしなかったが謎が残ってモヤモヤする。
番号札を渡してきた店員さんを目だけで探して見てみると、PUMAのスニーカーを見ていた。PUMAのスニーカーの前にコンバースをお会計してほしかった。
あと革靴が欲しくなった。