そのあとすぐ帰った
夜道を歩いていると前から猫がやってきた。
夜に猫を見るのは初めてだ。猫はたいてい昼間から夕方にかけてコンビニの駐車場や自動販売機の陰などに出没する。
すれちがう1メートルほど前で猫は左折してアパートの前に止められた自動車の下に向かう。
「猫」と声をかけてみる。
しかし猫は来ないどころか振り向きもしない。やはり外を生きる猫は気高いから人の声など気にもとめないのだろう。流石だ。
道を歩いていて動物を見かけると声をかける癖がある。木の枝にとまっている雀(冬毛)やセキレイには「鳥」、ペットショップでどこか一点を見つめているカメレオンには「カメレオン」と。声をかけた動物がこちらに来たことは一度もない。
そういえば僕は小動物が苦手なので来たらそれはそれで困る。