絵が描けない人とは
絵を描いている。
出来心の意思で参加することになった合同展示会に出す絵だ。
パネルに色んな色の絵の具をあーでもないこーでもないと言いながら重ねている。
絵を描ける人、というのが僕の周りには多く存在する。
しかし絵を描ける人は結構な割合で自分は絵が描けないという。
そして絵を描ける人はよく絵を描いている。自分は絵が描けないという人もよく絵を描く。この二人は同じ人物だ。
絵が描けて絵が描けないという人は、スランプとかそういうものを経るくらい絵を描き続けてきたのだと思う。
ちなみに写真があってもなくてもまともに手が描けない僕は、中学生のとき美術部に所属しておきながら一枚も絵を描かずに卒業するという経歴を成している。
絵を描き続けている人はすごい。多分けっこう頭がおかしいと思う。絵を描くのは片道2時間の距離を自転車通勤したり、レストランの味をご家庭で再現したりするのと同じように、難しいからだ。
果たして私は絵が描ける人間なんだろうか。
答えは最初に書いた通り、まさにいま絵を描いている。絵は描けている。
線を引いて文字ではないものを形づくることを絵を描くと呼んでいる僕は、つまり文字を書いている時以外絵を描いていることになる。
絵を描くということに対するハードルが公園の柵くらい低い。
絵を描けるようになりたい。