どうしてほしかったんだろう
線路沿いを歩いていると家族連れがいた。お父さんと子供二人の三人組だ。
天気もよく、たまに通る電車に子供が「電車だー」とはしゃぐ。のどかでいい風景だ。
するとなんの脈絡もなくお父さんが子供に「お母さんが剣を持って格好つけていたらどうする?」と剣士のポーズを取った。
子供は二人とも黙っていた。
つまりスベっていた。
長い沈黙があってから子供の一人が「変だねえ」と言った。
電車が通った。子供がはしゃぐ。
吹き抜ける風も気持ちが良くてやっぱり今日はのどかだなあと思った。
再び突然お父さんが「もし魚の顔がお父さんだったらどうする?」と言った。
子供は二人とも黙った。
つまり再びスベっていた。
すごく長い沈黙があってからさっきとは逆の子が「嫌だねえ」と言った。
電車が通ると子供ははしゃいだ。
もしかしたらお父さんは電車が通るまでの間を繋いでいるのかもしれないと思った。
お父さんは「いつも何時に寝てるの?」と聞き子供が答えると「そんなに遅いんだ!」「学校は何時に行っているの?」と続ける。
あまりにもボケが子供二人にハマっていないところとか考慮して、この三人の関係がよくわからなくなった。
変わらず天気は良い。天気が良い日にはこういうことがある。